大断髪式

髪を切った。
女性が髪を切るというのは、何らかの大きな理由があるか、もしくは大きな気分転換をしたいか、何かに踏ん切りをつけたいか、だ。新しいことを始める時なんかも、髪を切る人がいると聞く。
私の場合は、踏ん切りをつけるためと気分転換のため。
・・・とはいえ、大したことではない。
髪はまた伸びるもんだ。

以前から、髪を切るならばヘアードネーションしよう、と思っていた。
ヘアードネーションとは、髪の寄付だ。
病で髪を失った子供にカツラを作っている非営利団体があって、髪の寄付を募っている。
これを知ったのは、去年の夏。
鍼灸院で後頭部に鍼を入れてもらっている最中にその鍼が折れて、頭の中に鍼が残ってしまった。(!)
最終的には国立病院の脳神経外科で緊急手術を受け、鍼は除去された。その時、手術のため、後頭部の髪を剃られた。一晩は病院に入院し、退院する時に髪を結び直そうとした。すると・・・床にドサッと髪が落ちた。まさに、「落ちた」という感じだ。剃っているわけだから、床に落ちた髪は1メートル以上あった。後頭部の4分の1を剃られたので、その髪の量も半端ではなかった。
「もったいないなぁ」
と思った。
でも、その頃の私はヘアードネションなんて知らなかったし、その髪が再利用できるものだとも思わなかった。
今にして思えば、実に実にもったいない。
退院後、髪の寄付ができることをテレビ番組で知った。
「あの髪を保管しておけばよかったなぁ」
と、つくづくも後悔した。
そして、次に髪を切るときは、絶対に寄付しよう!と心に決めたのである。

髪の寄付にはいろいろな条件がある。
まずは、その長さ。
31センチ以上でないと、寄付できない。
パーマやカラーリングや白髪も、ない方が良い。
私はパーマは20年以上かけていないし、カラーリングも20年以上やっていない。これは母に感謝なのだが、このトシにして、幸運なことに白髪がない。クセもうねりもない完全なストレート。太くて固くて、ヤケに丈夫な髪である。
たぶん、ほとんどの方が、「長さ31センチ以上」という条件をクリアするのが難しいのであろうが、私の髪の長さは股下20センチ以上ある。身長が170センチ超えなので、ちゃんと測ってはいないが、1メートル以上はあると思う。
・・・まさに、寄付にはもってこい、なんである。

髪を寄付するには、指定のサロンでカットをしてもらう。もちろん、カット代は自前。それも含んでの「寄付」なのだ。
サロンに予約し、20年ぶりに(いや、もっとか?)、美容院なるものへ出かけた。
今まではどうしていたか。当然、自分で切っていたのである。母に切ってもらうこともあった。髪を後ろに下ろして、切る線に沿ってガムテープ(!)を貼り、そのガムテープに沿って切っていた。真っ直ぐに切れるし、切った髪も飛び散らない。これは、ハワイのハラウで教えてもらった方法だ。これで私はこの20年あまりを過ごしてきたのである。(この話をすると、結構ビックリされる)
そんな私が美容院!!!
サロンでは、私の髪の長さに相当驚かれた。
「本当に寄付しちゃって、いいんですか?」
と何度も言われた。
「切りますよ! やめるなら、今ですよ!」
とも言われた。
いえいえ、ご心配なく。髪はまた伸びるものなのだ。

切る前に直径1センチくらいずつの毛束を作り、ゴムでとめられた。そのゴムの上で髪を切るようだった。
なるほど。
寄付する髪はそんな風に束にして送るんだなぁ。
で、切った髪がこちら。
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なかなかコワイ。
切った長さは約70センチ。
二人分の寄付ができた計算になる。

サロンの美容師さんは、
「2~3ヶ月にお一人くらい、ヘアードネーションにいらっしゃいますが、こんなに長い方は初めてです」
と言った。
まぁ、そうだろう。
「ずいぶん、よくお手入れされていましたね。とても健康な髪なので、喜ばれると思います」
とも言われた。
そうか、良かった。
誰かが、私の髪を使ってくれる。その髪で、喜んでくれる人がいる、と思うと、私自身が嬉しかった。

寄付する髪は、少しでも水分があると、いけない。
だから、シャンプーするのは、切った後だった。
美容院で髪をシャンプーしてもらうのは何年ぶりだろう。・・・って、20年ぶりだが。他人様に髪を洗ってもらうのって、こんなに気持ちの良いものだったっけか・・・
美容師さんが髪をタオルで包んで水分を拭き取ると、ヤケに頭が軽かった。
切った70センチの髪の重量は、結構なものだったようだ。
「アタマって、本当はこんなに軽いものだったんだなぁ」と実感した。

切った後の私の髪はどうなったか???
こんな感じである。
IMGP0758.jpg

そう。
それでもまだ、常識的なロングヘアなのである。
70センチ切っても、まだまだこれだけの長さがあるのだ。
フラは、やめるわけではない。
教えるのをやめただけである。
またクムの元でレッスンすることもある。お団子にはできないと、いけない。
それでこの長さを残したのである。

髪を切った後、市民講座のレッスンに行った。
これはカルチャースクールが閉鎖になる前に契約した講座なので、この講座は最後までやる。
早々にお団子にすることとなったワケだが・・・これが、ものすごく、大変だった。
今までは1つに結んで、ぐるぐるぐる・・・と巻き付けて、ツイストピンで止めるか、ヘアスティック(お箸みたいな棒)を刺せば、簡単にお団子ができた。10秒もかからずに、お団子になった。
それが、ぐるぐるぐる・・・とやる髪がないのだ。
「どうやって、お団子作るんだろう・・・」
と途方に暮れた。とりあえず、お団子の形にしてツイストピンで止めた。が、太くて固くて健康な私の髪は、あちこちからピンピンと飛び出す。もっと困ったのは、切ったことによって、ますます髪が健康になってしまい(!)、ツルツルのサラサラになってしまったことだ。普通のピンが止まらない。滑って落ちてきてしまうのだ。しかも髪の量が多いので、ピンを刺しても飛んでいってしまう。
ああ・・・もっと不健康な髪でもいいのに・・・
お団子にするのに、エラく苦労しているのである。

そして今日、ヘアードネーションの団体からお礼状が届いた。
ヘアードネーションのブルーリボンも同封されていた。
こんな可愛いカードだ。
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また髪は伸ばすかもしれない。
そしてまた切るかもしれない。
切るときは、31センチ以上にして、また寄付しようと思う。
誰かが喜んでくれるといいなぁ。



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