「先生」引退のご報告

私は、
「フラの先生」を引退
することに致しました。
所属していたドゥ・ハワイ・カルチャースクールが閉鎖になったことに伴い、先生業から離れます。
ただし・・・11月20日までの市民講座については契約があるので、それまではフラを教えます。

ドゥ・ハワイ・カルチャースクールは、9月30日をもって閉鎖になりました。
それを知ったのは9月27日。まさに、電光石火であった。
閉鎖の理由は、建物の老朽化

最初は7月の初め頃だった。1階の床がひび割れ始めた。
あちこちにひび割れができ、それに段差が加わったり、裂け目の幅が広くなっていった。
3階にあるスタジオが突然、雨漏りするようになった。
応急処置でもちこたえていたのだが、雨漏りした場所は1カ所だけではなく、天井と壁には無数の雨のシミができた。要するに、壁からも雨が入ってきているのだ。
ドゥ・ハワイ・カルチャースクールを運営している会社は、建物の状態の検査を提言したが、建物の持ち主との交渉が進まず、独自に依頼した検査の結果が出たのが、9月27日だった。
中程度の地震でも崩壊する可能性がある
とのことだった。

建物がイカンことがわかっていながらの営業は続けられない、との判断がなされた。
そりゃ、そうだろう、と思う。
報告を聞いた私やアルバイトスタッフ、生徒さん達からしてみれば、「なんでこんな突然に!」と思うのだが、経営陣からすれば、何かあった時の保障を考えねばならない。
もし、建物がイカンことを知りながら営業したならば・・・何かあった時に、「なんで建物がイカンことを知りながら営業を続けたんだ!」ということになる。
だから、建物がイカンことがわかった段階で、すぐに閉鎖されたのである。

建物がイカンことは、私も感じていた。
いつか、大々的な検査がされるんだろうな、建物が補修されるんだろうな、長期間の休講になるかもしれないな、とは感じていた。でもそれは、あくまで私個人が勝手に感じていただけのことであり、社員でもない、何も詳細を知らされない身としては、勝手に想像するしかなかった。
しかし事態はそれほど簡単なことではなかったようだ。(だから閉鎖なのだが・・・)
一般のお客様を建物には入れられない、との判断がなされ、カルチャースクールだけでなく、1階のショップも閉鎖された。建物裏手のコインパーキングも閉鎖された。

こうして、ドゥ・ハワイ・カルチャースクールは閉鎖されたのである。
スタジオを持っていない私は、これから、どうしようか、と考えた。
そして導き出した答えは、
引退
だった。

教室を運営・経営していくには、大変な費用がかかる。
私には、その経済的余裕がないのである。
そして、時間も。父の介護はなくなったが、私にはまだ、知的障害のある義弟の世話がある。
そんな状態の私が、教室を責任を持って運営・経営していくことは不可能である。

私は以前、自分の教室を持ち、スタジオを構えていた。が、当時、父の介護がものすごく大変で、私自身の時間も取れなくなり、教室は閉校した。
教室を経営する、というのは、教えている時間の何十倍も運営や経営に伴う事務管理が必要だ。私には、その時間がなかった。だから閉校したのである。
そんな時、ドゥ・ハワイ・カルチャースクールが声を掛けてくれた。
教えるだけ、という仕事ならば、父の介護をしながらもできる、と考え(実際は父の世話がどんどん圧迫してきたが)、ドゥ・ハワイ・カルチャースクールの専属講師になった。
本来なら。
私は5年前に教室を閉じた時に、フラの先生を辞めていたはずである。
それが、ドゥ・ハワイ・カルチャースクールのおかげで、余分に、5年間、フラを教えることができた。
ドゥ・ハワイ・カルチャースクールのおかげで、父の介護もできたし、知的障害のある義弟の世話もできた。
そして、ドゥ・ハワイ・カルチャースクールのおかげで生徒さん達をクムに会わせることができた。
ドゥ・ハワイ・カルチャースクールには、感謝しか、ない。

「サークルの指導でも、いいじゃないか?」
とのお声もいただいた。
しかし私は、フラの先生を始める時、心に決めていた。
サークルや同好会という気楽な集りでの指導はしない、と。
やるなら100。私は0か100かのどちらかだ。
やるなら、きちんと、教室の様を呈した形で、しっかりと指導していく、と決めていた。
それができなくなったら引退しよう、と考えていた。
私は、例えば、身体が動かなくなったとか、年齢による理由で今までどおりの指導ができなくなった、とかの理由で、いずれは先生を引退するんだろうな、と漠然と想像していた。
ところが、建物の老朽化とは・・・全然、想像していなかった。

未練は、ないはずがない。
フラを学んで22年、先生と呼ばれて16年。
人生の大半をかけて取り組んできたことを、そんなに簡単に捨てられない。
でも、状況からみて、先生を引退せねばならない。
ここ2週間、ぐるぐるとそんなことばかり考えている。どうしようもないことなのに。
どんなに未練を持っていても、私の状況では先生は続けられない。

もし私に、200人を超える生徒さんがいたならば、ドゥ・ハワイ・カルチャースクールは移転してでもスクールを継続させていただろう。
もし私に、潤沢な資産があれば、自分でまた教室を再興することもできただろう。
もし私に、じゅうぶんな時間が取れるならば、何らかの方法も採れただろう。
でも、どれも、叶わない。
すべては私の不徳である。
ここが、諦め時なのだ。

私はこの2週間、努めて努めて冷静に考えをまとめてきた。
しかし実のところ、そんなに冷静であるわけがない。
「先生は私を捨てるんですね!」と言った生徒さんもいた。
「冷静な先生が許せない!」と母に怒鳴った生徒さんもいた。
「人として、許せない! 人として最低です!」と言った生徒さんもいた。
「なんのために先生についていたんだか!」と言った生徒さんもいた。
たぶん、私の一生の中で、これ以上、人様の前で面罵されることは、これまでもなかったし、これから先もないだろう。
彼女たちの文言は、建物の老朽化によるスクール閉鎖と私の引退という一連の出来事とは大きくかけ離れているが、生徒さん達も私と同様、行き場のない悲しさや悔しさ、寂しさを抱え、冷静ではないのだろう。
驚くような罵詈雑言の中、もちろんショックもあるが、私は冷静にその文言を受け止めた。きっと、ご本人は冷静ではないため、何をどのような表現で言ったのか、正確に思い出すことはできないだろう。後になって謝罪してきた生徒さんもいたが、冷静さを欠いている状況下での発言なので、私は気にしていない。そんな状態に追い込んだのは私だ。
申し訳なく思っている。
生徒さん達の不平や怒りを黙って受け止めるのが、私の「先生」としての最後の仕事なのだ。

今はこの現実を自分の中で消化すべく、努力しているところだ。
そして、16年ぶりに「生徒」に戻り、純粋にフラを楽しんでいた頃に戻ろう、と思っている。そうやってプラスへ考えていかないと、「自分」がもたない。

未練を断ち切るため、親しくしている先生にパフとプニウを差し上げた。
オーダーのレイや髪飾りも、親しい先生方にお送りしようと思っている。
そして、今日の午後、私は髪を切りに行く。
常識的な長さ(?)にするつもりだ。
髪は「ヘアー・ドネーション」する。
私の髪を誰かが役立ててくれると嬉しいな、と思っている。

未練を断ち切るには、まだまだ時間がかかりそうだ。









この記事へのコメント

  • ホヌスキー

    思い切った決断に驚きました。私は、小百合先生は以前と同じくまたスタジオを立ち上げるものと思っていましたが、時間的にも金銭的にも難しかったのですね。熟慮の上のご決断ですので、仕方がないとは思いますが、気になるのはご義弟さんのことです。先生だけがそれほどまで尽力される必要はあるのでしょうか?距離をとってもよいのではないでしょうか?だめですか?それに、先生についてせっかく上達してきた生徒さんも、突然のことで、さぞ残念なことだったと思います。行き先は決まったのでしょうか?先生も生徒さんも本当にお気の毒です。でも将来的には、また先生をなさることもあるのではないかと期待しています。小百合先生のような方には、「先生」をしていただかないとフラの世界の損失です。いろいろ勝手を申しましてすみません。ブログで私淑しておりました私は、大変勉強させていただきました。感謝しております。これから寂しくなります。長い間ありがとうございました。くれぐれもお体を大切になさってください。
    2019年10月18日 18:53
  • 椿山

    突然の決断に身を切られる思いだったでしょう。
    教室運営の大変さ。
    時間。お金。生徒数。
    書かれている通り、どれが欠けても教室継続は難しいです。 
    心痛お察しいたします。
    フラの学びの道はこれからも続くとの事。
    応援しております。
    ブログもこれからも拝読したいです。
    2019年10月21日 07:33
  • づぼら

    おそらく先生には遠目にもお目にかかることはないと思うのですが、ブログをいつも楽しみ、勉強させていただいています。
    私は小さな教室の一生徒ですが、フラの教室の運営のために如何に経済と時間の犠牲を強いられるか、傍目にも分かります。本当にお疲れさまでした。
    ブログだけでも時々でも続けていただけたらと、勝手に厚かましく願っております。
    2019年10月23日 18:40
  • 伊東成子

    先生、少しの間先生のところでお世話になったシゲコです。
    昨日、久しぶりに先生のブログを開いてみたら、、、。
    びっくりしました。
    今、私がフラを続けていられるのは先生や先生の生徒さん達が
    私を快く受け入れてくれたおかげです。
    短い期間でしたけれどとても楽しかったです。
    本当にお世話になりありがとうございました。m _ _ m。
    ご恩は一生忘れません。m _ _ m。
    先生の教室をやめてしまった私が言うのもなんですが
    本当に残念です。
    でも先生はこれからもフラに関わっていかれるとのこと。
    いい言葉が見つかりませんがお体大切に。
    お母様にもよろしくお伝えください。
    m _ _ m。
    2019年11月14日 09:56
  • 加納敦子

    Aloha kakahiaka!
    'O Atsuko ko'u inoa.
    No Miyoshi mai au.
    Pehea 'oe? Kumu hula kahiko!
    先生のフラレッスンは最高でした。Hulaは勿論、Ukulele, 'Olelo Hawai'i,
    レッスン前後のOliと4倍+得して楽しめました。
    Mahalo no nui loa!    
    2019年12月01日 11:34