義弟へ持って行くおかず

このブログに時々登場する義弟。
夫の実家で一人暮らししている。彼には軽度の知的障害があり、毎日障害者向け訓練作業所へ通っている。
彼は家事についてはソコソコ、できる。
あくまで、ソコソコ、である。
どのくらい「ソコソコ」なのか、と言うと・・・
洗濯・・・1週間に2回くらいやっている。干し方はキレイではないが、問題ない。ただし、私が実家へ行く度に洗濯機をチェックしないと、たま~に動かないくらいの大量の洗濯物が洗濯槽に突っ込まれたままになっていることがある。
掃除・・・いわゆる、「四角い部屋を丸く掃除機をかける」のような感じ。お菓子の食べかすが散乱していることも多い。私が行く度に隅から隅まで掃除機を丹念にかけている。思わぬ所から食べかすが出てくるので、油断ができない。
お風呂掃除・・・これはマメにやっている。エライ!
トイレ掃除・・・ほとんどやらないので、私が行く度にやっている。ただし、昼間は作業所へ通っているのであまりトイレは使われていない。掃除は簡単に済む。
布団の整備・・・万年床ではあるが、いつもきちんと整備している。布団の端がだらしなくめくれ上がっているということはない。ただし、シーツや枕カバーを洗う、という概念がないので、私がお天気の良い日に行くと洗っておく。布団は「干さなくて良い、万年床でも良い」という特殊な布団なので、干す面倒がない。毛布は季節終了時に私が洗う。
炊飯・・・問題なし。ちゃんとお米を洗って炊くことができる。
食器洗い・・・これはかなりヤバイ。いつ行っても、絶対に洗い桶の中が一杯になっている。「いったい、いつ使った皿なんだ・・・」と覚しき皿や鉢が水を張った桶の中に一杯に入っている。どうやら、一杯になってこれ以上入らない、という段階で、まとめて洗っているらしい。これについては毎回キビシク(!)指導しているのだが、どうにも、やれないようだ。ちなみに私は、洗い桶の中に食器が入っているのが大嫌いである。(母も同様)ついでに言うなら、洗った食器を伏せておくイカキに食器があるのも許せない。洗ったらすぐ拭いて食器棚に収納しないと気が済まない。
シンクの掃除・・・これは結構、できている。排水溝のゴミ取りネットも週に1度、交換している。
ゴミの廃棄・・・収集用ゴミ袋に入れたゴミはちゃんと収集日に出している。大量にある場合は私が収集場所へ持って行くが、たいていは自分で出している。が、なぜか部屋のゴミ箱に入っているゴミが溢れている。どうやら、ゴミ箱にあるゴミを、ゴミ袋の中に入れるのを忘れるようだ。なかなか油断ができないのである。

・・・と、家事はソコソコできている。
ちょこっとカバーすれば、なんとかなる。
しかし、知的障害があるので、本人が一生懸命に頑張ってもできないこともたくさんある。身体もとても小さいので、体力的にできないこともたくさんある。
そんな、「できないこと」「苦手なこと」の一つが、おかず作りだ。
夫曰く、「アイツはちゃんと作れるぞ」と言っていたが、彼の作ったおかずを食べて、びっくりした。
辛い。(塩辛い)
そして、甘い。
ヤケに味が濃いのだ。
そして、出汁がきいていない。
まずくはないが、美味しくはない。いや、どっちか言うと、やっぱりマズイ。
包丁は使える。
切るのは遅いけれど、問題ない。新米主婦より包丁は上手かもしれない。
が、味付けがどうにも、イカン。

彼が一人暮らしになった時分、頻繁に実家に通い、彼に基本的な味付けや調味料の使い方、灰汁の抜き方、材料の火にかける順番などの「料理のイロハ」を教えた。料理酒やみりんの使い方、出汁の取り方を知らなかったので、そのへんも基本をしっかり教えた。が、すぐに忘れてしまうので、かなり根気の要る教授となったが、それでも、それなりにできるようになった。
とはいえ、濃い味付けになりがちなので、そこらへんは今もレッスン中(!)である。
義弟は私の見たところ、バカ舌ではないが、味覚があまり鋭敏ではない。美味しいか、まずいか、ということはわかるけれど、どんな風に美味しいのか、その料理にはどんな調味料が使われているのかは、あまり当てることができない。義弟と一緒に病院帰りにレストランへ行くと、「これには何が入っているか、わかる?」などと、クイズをしているのだが、あまり当たらない。食材についても、「これ、な~んだ?」とクイズを出すのだが、知っている食材がかなり少ない。が、ちょっとずつ、これもレッスン(!)している。

そんなこんなで、料理そのものはまぁまぁできるようになったが・・・
一番できないのは、「うまく組み合わせて食べる」ということだ。
献立がなっていないのだ。
私が1週間から10日に一度、おかずを作って義弟に届けているのだが、そのおかずをうまく組み立てて食べることができない。
例えば・・・
かぼちゃの煮物
サラダ
豚肉の野菜巻きフライ
ピーマンとちくわの炒め物
豚汁(鍋一杯)
酢豚
チキンライス
を持って行ったとしよう。
普通だと、
かぼちゃの煮物半分(タッパ一杯に入れてある)と、ピーマンの炒め物半分と豚汁1杯分で1食
チキンライスとサラダ半分で1食
豚肉の野菜巻きフライとサラダ半分で1食
・・・のような感じになると思う。
が、彼の場合は、酢豚とチキンライスで1食、豚肉の野菜巻きフライとかぼちゃの煮物全部で1食、というように、炒め物や油物ばかりを食べてみたり、タッパ一杯の大量の煮物を一度に全部食べてしまったりする。
だから私はおかずを持って行くとき、「これとこれで1食」というメモを添える。
・・・なかなか、手間がかかるのである。

おかずを持って行くのは、私のオフの火曜日であることが多い。
だからその前日、月曜日はものすごく忙しいのだ。
レッスンの帰り道でスーパーに寄り、食材や非常用レトルトをあれこれ買い、帰宅するとカバンもそのままに台所にこもる。今日は夕方4時頃に全部の料理が完成した。レッスンが午後の遅い時間まである時は、これが我が家の夕食の支度と重なるので殺人的スケジュールになる。ガスレンジは常に両方が稼働し、まな板は10回以上洗うことになる。使うボウルの数、それを洗う回数も半端ではない。菜箸も何本使うのか、という感じになる。
母は、「あんた・・・根気あるねぇ、マメだねぇ」と言うが、これはこれで、結構楽しいのだ。
元々、私は料理を作るのも食べるのも大好きなので、大変なのもあまり気にならない。
「大変だ、エライこっちゃ~!」よりも、「これを食べさせてあげたい」とか「口に合うといいなぁ」と考えることの方が圧倒的に多い。もちろん、時間がなくて手抜きすることもあるのだけれど、時間のある時は手の込んだ家庭料理を持っていくことにしている。

今日はまぁまぁ時間があったので・・・
こんな感じ。
おかず2018.5.jpg

右上から下に向かって、枝豆とゴボウのはんぺんの煮物、新ジャガイモの煮物、青梗菜と人参と椎茸と豚肉の中華炒め。
左上から下に向かって、鶏のそぼろ・水菜のおひたし・出汁の利いた炒り卵(鶏のそぼろ丼の具)が2パック(1回分ずつに分けてある)、出汁の利いたとろろ汁。
昨日、実家へ行った時に、かぼちゃと人参とベーコンのカレー煮と豚肉の生姜焼きが持って行ってあるので、明日はいつもよりちょこっと品数が少なめ。
私が持って行くおかず加えて、義弟は自分で卵焼きを作ったりハムを焼いたりして、うまくバランスを取っている。

知的障害があってもなくても、男の一人暮らしというヤツは、とかくその食事内容が心配だ。
義弟は特に、夫の弟家族(夫は5人兄弟の長男)と暮らしていた時、一日中、何も食べさせてもらえないことも珍しくなかったらしく(本人談)、お菓子を食べて生きていた時期も長かったらしい(本人談)ので、長きにわたって食生活が乱れている。
夫と私が実家に踏み込んだ時には、彼の体重は36キロしかなかった。ちなみにこれは、私の小学校低学年の頃の体重と同じだ・・・。身長が150センチそこそことはいえ、かなり痩せていた。男性だから骨が太いので、150センチといえども、47~8キロは欲しいところだ。
・・・で、現在の彼は50キロ。
ちょくちょくボウリングにも連れて行ったり、訓練作業所でも運動をしているので、太ってはいないが、かなりガッチリしてきた。通っている精神科の主治医からも、「ずいぶん筋肉がつきましたね」と褒められている。良い傾向だ。

こうやって見ると、やっぱり、食事は大切だと思う。
なんでも食べときゃあ(食べておけば、の名古屋弁)いい、ということではない。
最近の一人暮らしをしている男性は、「3食全部、コンビニ」という人も多い、と聞く。たまにはいいかもしれないが、ずっと、となると私は抵抗がある。若いサラリーマンが、コンビニでお弁当とオレンジジュースとコーラを買っていくのを見ると、「味覚崩壊か?」と思ってしまうのは、時代遅れなのかもしれない。
古いかもしれないが、たまには家庭料理を食べて欲しいなぁ、などと思うのである。







この記事へのコメント