飲める水・飲めない水

東京都の一部で、下水処理水が配管接続の不備で水道水に混入したと報道されていた。
さぞかし、お困りになったろう、と思う。
日本の水道水は基本的に、普通に飲める。
美味しい地域もあれば、そうでない地域もあるだろうが、ちゃんとキレイな水が水道の蛇口からは出ている。
これは、本当にありがたいことだ。
世界には、水道水が飲めない地域がたくさんある。

ハワイではどうか、というと、基本的には水道水は飲める。
オアフ島の配管の古い都会のマンションは飲めない・或いは美味しくないかもしれないが、私が住んでいたハワイ島では水道水が飲めた。結構、美味しかった。何しろ、オゾン層の破壊されていない空から降った雨を、火山岩で自然濾過されて地下水になっていくのだ。美味しくないわけはない。ハワイ中で売られている「ハワイアン・ウォーター」とかいうミネラル・ウォーターは、ハワイ島産だ。
水道管の通っている地域では、水道水が普通に飲める。
そう、ハワイ島では水道管の通っていない場所もたくさんあるのだ。

日本に住んでいると、「水道管が通っていない」などと、信じられないかもしれない。
ハワイ島ヒロ側には、実は、そういう場所が少なくない。
理由は、キラウエア火山。
地面の下にマグマが流れている(!)ので、水道管を埋めることができない。
ちなみに、ガス管も通っていない。マグマから引火したら、エライことになるからだ。だから各家庭はオール電化か、プロパンガスである。

私が住んでいた家は父が建てたのだが、水道管が通った住宅街にあった。
しかし、そこから車で5分ほどの友人の家のある住宅街は水道管がなかった。
ほんのちょっとした違いである。
水道管の通っている場所は、当然だが、土地の値段が高い。そのかわり、1軒分の土地面積は小さいロットになっている。一方、水道管の通っていない地区は1軒分の土地面積は大きく、値段が安くなる。だいたい、値段も面積も、5倍くらい違う、と聞いたことがある。
そう言えば、私の住んでいた住宅街はロットがハーフ・エーカーだったが、その友人の家は5エーカーだった。見渡す限り原生林だったが、そこが全部、彼女の家の敷地なのだ。

水道管の通っていない家は、飲み水をどうしているのか?
基本的に飲み水は、買っている。
ペットボトルではない。
一斗缶くらいの容量のある、巨大なボトルが売られていて、それをひっくり返して設置する設備がある。コックをひねると水が出てくる。
一方、洗い水やお風呂は、キャッチメントの水を使っている。
キャッチメントとは・・・
本当の名前は何というのか知らないが、みんなその設備を「キャッチメント」と呼んでいた。
いろいろな大きさがあるらしいが、直径10メートルくらいの円形のプールのようなものが庭にある。それに雨水を貯める。そのプールの下は濾過施設になっていて、その水が家の中に入っている。だから、その家の水道の蛇口をひねると、そのキャッチメントの水が出てくる。なかなか、よく考えられた設備だ。
一度、新聞広告に、このキャッチメントの値段が載っていたのを見たが、結構なお値段だった。
高価な狭い土地で水道水を飲む生活をするのか、比較的安価な広大な土地で買った水を飲んで設備の高価なキャッチメントの水をシャワーに使うのか・・・ここが運命の分かれ道である。

キャッチメントの水は、飲めないわけではない。
歯を磨くのも、顔を洗うのも、レタスを洗うのも、キャッチメントの水でやっている。ごくごくとは飲めないかもしれないが、口に入っても大丈夫だ、と友人は言っていた。
確かに、彼女の家でサラダを何度か食べたが、その水が私の身体に入っても、何の変化もなかった。お腹も壊さなかったし、肌もぼろぼろにはならなかった。
香港なんかだと、歯を磨いただけで、口元の肌がぼろぼろになった。
ハワイの雨水はキレイなんだなぁ。

ハワイ島を車で走っていると、庭にキャッチメントのある家をたくさん見ることができる。
観光で訪れた人は、「アレは何?」と思うだろう。
キャッチメントのある場所は、水道管がない、と思っていただきたい。
そうやって見ると、かなりの地区に水道管がないことがわかる。
日本では水道管がくまなく通っている。
美味しいかどうかは別として、とりあえず、今回のような事故がない限り、水道水は飲める。
これって、本当にありがたいことだと思う。
日本に住んでいると、そのありがたさを忘れてしまう。当たり前、と思ってしまう。
でも、私たちが享受している「便利」は、当たり前ではない。
外国へ行くと、「日本の便利さ」を痛感する。
物価は高いし、土地は狭いけど、やはり便利なのだ。

私はハワイに住んでいた時は、「不便さ」を楽しんでいた。不満に思ったことはなかった。
「へぇ~ こんなに不便なんだ~」のような感じである。
そのかわり、その不便さを解消するための物を見ると、「なるほど~」と、その知恵に感心することも多い。
ハワイへご旅行に行かれたら、ぜひその「不便さ」を見つけていただきたい。
それもまた、ハワイの楽しさの一つだと思う。











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