私が「見たいな~」と思っていた映画は受賞を逃した。
映画というのは主観的なものなので、受賞したから見る、逃したから見ない、というワケではない。自分の心の琴線に触れるかどうか、なのだ。好きな俳優が出ている、という理由も大きいが・・・
さて、その授賞式。
作品賞の発表で前代未聞のアクシデントがあった。
本来の受賞作品ではない作品が、間違ってコールされてしまった。
ちなみに、実は昔、メリーモナークでも同じようなことがあったのだ! 何年だったかな~
私の注目は、その作品でもアクシデントでもなかった。
作品賞のプレゼンテーター、ウォーレン・ビーティ。
古い映画の好きな人はご存知だろうと思う。
「俺たちに明日はない」(原題 Bonnie and Clyde)という映画で、主人公クライドを演じた俳優だ。
この映画は私の生まれる前の映画で、所々が白黒になった映画だ。
アメリカの恐慌時代に世間を騒がせた強盗団のリーダー・クライドが、恋人であるボニーと共に犯行を繰り返し、最後には麦畑(?)でテキサス・レンジャーや警察に銃撃され、蜂の巣になる、というなかなか刺激の強い映画だ。
この映画を見たのはたぶん、小学生の頃だったと思う。
今では考えられないかもしれないが、子供が普通に起きている時間にテレビで放映された。今なら間違いなくR指定されるだろう。
それからは何度となく見た。
私にとってはお気に入りの映画なので、今でもテレビで放映されるたびに欠かさず見ている。
私は古い映画が好きだ。CGとかがあまり使われていなくて、ちょこっとフィルムが古い感じがたまらなく、いい。俳優も女優も皆さん、美男美女だ。台詞もかなりオシャレだったりする。
ハワイに住んでいた頃も、テレビに「古い映画専門チャンネル」があったので、時間のある日は一日中見ていた。
「ああ~ またあの映画か~」と思う映画もあれば、「おっ これは何度見てもいいぞ!」という映画もある。
何度見ても嬉しい映画は、「ベン・ハー」「十戒」「風と共に去りぬ」「サウンド・オブ・ミュージック」「シャレード」「モロッコ」「アラビアのロレンス」などなど。もちろん、「俺たちに明日はない」も、これに入る。
よく考えると、これらの映画には何の共通点もない。強いて言うなら、全部、私が生まれる前に作られた映画だ。
「俺たちに明日はない」の頃のウォーレン・ビーティ(ベイティと書かれる時もある)は、それはそれは格好良かった。世の中に、こんなに美しい男性がいるのか!というくらいの美貌だったのである。
かの作家・故・森瑤子先生が、そのエッセイの中で、
「ウォーレン・ビーティは、その横顔を思わずしゃぶりたくなるような色男」
と称している。
しゃぶりたくなるかどうかは別として、まぁとにかく、素晴らしく美しい男性だったのだ。
昨日の授賞式では、「俺たちに明日はない」で共演したボニー役のフェイ・ダナウェイと共にプレゼンテーターとしてステージに上がった。
えっっっ・・・
これが今のクライド・・・?
普通に、おじいちゃまになってる。
当たり前なのだが、「俺たちに明日はない」の台詞まで覚えてしまっている私からすれば、「おじいちゃまになったウォーレン」が、とてもショックだった。
よく考えてみれば、あの映画は私が生まれる前の映画だ。ウォーレン・ビーティは御年79歳になっている。普通におじいちゃまになってて、当たり前なのだ。
しかししかし・・・私の脳裏には、あの美しい横顔が刷り込まれているのだ。今更、脳内変換できない。
作品賞の発表後、それが誤りだったことが判明し、本来の赤封筒を持ったウォーレン・ビーティが画面に映った。
そのはにかんだような笑顔は、やっぱりウォーレン・ビーティだった。
おじいちゃまになっても、やっぱりウォーレン・ビーティだ。
アカデミー賞の発表では、往年の俳優がプレゼンテーターとして登壇することがたびたびある。
今回のように、たま~にショックなこともあるが、「あ、まだお元気なんだ!」と嬉しくなることもある。
ウォーレン・ビーティのお姉さんは、シャーリー・マクレーンだ。シャーリーもご健在だ。
来年の授賞式ではどんな俳優さんが出てくるかなぁ。
授賞式の楽しみは、こんなところにもあるのだ。